トンネル工法うんちく
普段車でなにげに通過しているトンネル
歴史的価値のあるトンネル
廃止され、崩落に怯えながら探索するトンネル
様々な場面で活躍するトンネルであるが
このページではそんなトンネル達がどの様にして作られているのか
簡単ではあるが独断と偏見だけで説明するページである。
・ 矢板工法(在来工法) ・
主に山岳トンネルの工事に利用される施工法で
古くから使われている工法である。
長所としては、発破用の穿孔機以外の特殊な機械を必要とせず
汎用土木機械で施工出来る。
その気になれば人力と木材とセメントだけで施工出来る。
短所としては、機械化出来ない行程が多く
人力に頼る場面もある為に施工期間が長くなる
また、土圧に対してトンネル覆工の巻立のみで地下空間を支える為
必要以上に覆工巻厚が厚くなる。
まず、ボーリングなどの地質調査を経て
岩盤の掘削に入る。
掘削方法は、削岩機による人力での掘削
ダイナマイトを使った発破による掘削
TBM(トンネルボーリングマシン)や坑道掘削機などによる
機械での掘削等がある。
掘削が終わった坑道は、岩盤が非常に不安定な為
丸太や鋼材を使った支保工により崩落せぬように支える。
次に支保工が終わった坑道は、支保工と岩盤の間に
「矢板」と呼ばれる木板又は鉄板を挿入し、支保間の岩盤を固定する。
地質により矢板を使わない場合や、矢板を当てがってから
支保工をする場合もある
矢板による下地が完成したら
ビニールシートなどで防水加工し
「セントル」と呼ばれる移動式の型を設置し
セントルと岩盤の間にコンクリートを流し込む
最終的にこのコンクリートがトンネル内側の覆工となり
トンネル構造物を形成する
工事途中で破棄された矢板工法のトンネル
矢板と支保工の様子がよく判る
この後セントルをあてがい、矢板と支保ごとコンクリで固めると
トンネルとしての構造が完成する
(宮城・福島県道107号 七里沢隧道)
(引用:山さ行がねが 道路レポート)
・ NATM工法(新オーストリアトンネル工法) ・
1960年代にオーストリアで提唱され
日本には1980年頃より普及し始めたトンネル工法
New Austrian Tunnelling Methodの頭文字を取り、NATM(ナトム)と呼ばれる
長所としては、行程の殆どを機械で処理出来るので
少人数で施工出来る。
ロックボルトによる岩盤そのものの固定により
覆工時の巻圧を薄く出来る。
各種工法との併用により、殆どの地質に対応出来る高い汎用性を持つ。
短所としては、在来方法と違い、コンクリート吹付機や
ロックボルトを打ち込む穿孔機、コンクリートバッチャープラント等
設備が大がかりになる。
複雑な地質に対しては綿密な調査が必要になり
その都度ロックボルトの本数変更や一次覆工の厚さ
更には支保工の設置や、在来工法への変更が必要になる。
まず、在来工法と同要領にて掘削を開始する
掘削後、直ちに凝固剤入りのコンクリートを吹付機により吹き付け
落盤しないよう岩盤を固定する、これを一次覆工という
一次覆工が終わったら、穿孔機で穴を開け
ロックボルトを打ち込む
ロックボルトの打ち込みが終了したならば
防水加工し、セントルを使用した二次覆工をする。
二次覆工を実施しなかったNATM工法トンネル
基本的に一次覆工とロックボルトのみでも
トンネル構造は完成するので
一般に共用されない工事用・作業用等のトンネルでは
二次覆工をしない場合も多い。
(秋田自動車道 工事・保守用トンネル)
なお、NATMの詳しい話については、こちらを参照してください。
・ シールド工法 ・
シールド工法は船食い虫をヒントに開発されたと言われる工法で
1818年に考案され、日本では1917年に使用された。
長所としては、掘削からセグメント組み立てまで
シールドマシン内部で行われるため支保等の必要が無く
掘削して即座に崩れるような軟弱な地盤に対しても
トンネルを施工する事が出来る。
また、発破の必要性が無い為、工事現場直上の地面に対し
工事の影響が少ない。
短所としては、発進基地となる縦坑の掘削等の準備工事が必要である
また、高価なシールドマシン等の専用機材が必要である
シールドマシンは施工するトンネル専用に設計される為、他の工事に転用出来ず
工事終了とともに現場で解体処分される等である
まず、シールドマシンの発進基地となる縦坑を掘削し
縦坑底部シールドマシンのパーツを搬入、組み立てを行う
完成したシールドマシンの内部で、セグメントと呼ばれる
鋼鉄又はセメント製のブロックを組み立てる。
このセグメントは組み上がるとトンネルと同径の環状になり
最終的にこれがトンネル構造物となる
セグメントが完成したらマシン内部の前進用油圧ジャッキで
縦坑側面にセグメントを押し当てる
同時にマシン前部にあるカッタービットを回転させ
セグメントを押し当てた事による推進力で
掘削を開始する。
掘削が終了したら、前進用ジャッキを縮め
次のセグメントの組み立てに入る
このように、セグメントの組み立てと掘削前進を交互に行う事で
トンネルの施工を進める。
通常はそのままでもトンネルとして使用できるが
道路トンネルなどは必要に応じて覆工をする場合もある
・ 開掘工法(オープンカット工法) ・
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・ 沈埋トンネル工法 ・
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