20057-06-16 作成

国道340号線 押角峠(岩手県)





国道340号線 旧押角峠は岩手県宮古市(旧新里村)と岩泉町との町境にある標高645mの峠である。
昭和10年、当時府縣道宮古岩泉線だったこの峠に全長580mの長大トンネルが完成、一気に距離の短縮が図られた。
新しい道が出来るとたちまち通行が困難だった旧道は破棄され、そして誰からもその存在を忘れ去られてしまった。
今回はそのトンネルが完成する前の要所、押角峠旧道の調査である。




この調査の発端となったのは土木学会デジタルアーカイブスの
戦前土木絵葉書ライブラリに掲載されていた一枚の図である。
これは雄鹿戸隧道を含めた押角峠改良工事の概略であるが
これによると旧府縣道と府縣道以前の道がしっかりと記載されている。
雄鹿戸隧道そのものも昭和10年竣工という事でかなり古い部類に入るが
それ以前の峠越えの縣道というのはかなり興味がある。




この図を元にカシミールで予想路線を作成してみるた。
地形図を見ると途中までは道として記載されているが
後は全くどの様な経路を通ったのかが全く不明である
そこで等高線と前途の図を頼りに大まかな予想経路を立ててみた。




予想経路の作成はしたものの、なかなか現地には行く機会に恵まれず
行っても途中で道をロストして引き返すなど、思うように調査は捗らない・・
そんな中「山さいがねが」のヨッキ氏よりメールが届く。
「仕事で岩手方面行くけど、押角峠やりませんか?」
平成17年4月21日、ついに昭和初期に捨てられた縣道の全貌が明らかになる




早朝、気仙沼まで氏を迎えに行き、そこで合流し再度北上
12時前後に雄鹿戸隧道南坑口に到着した。
大体、この様な隧道前後には広大な駐車スペースが確保されている
これはトンネル工事の際排出された土砂(ズリ)を捨てる為である。
そこに車を停車、各々の装備を固めた後に未知の旧道へと出発した。
(ちなみに彼は私と合流する直前に国道45号線旧道、只越峠を攻略していた、恐るべし!)



現国道より旧道入り口を望む。
極希に車両の進入があるのか、比較的道の形は残っており
軽トラックサイズではあるが轍も残っている




しかし百m位歩いた辺りより轍の方は無くなってきた
道もガレ始め、4輪での進入は相当覚悟が必要である




現道のガードレールが見えたので振り返り撮影
この写真だけでも、この道がいかに難所だったかがよく判る




ガレた場所を通り過ぎると、道はまた平穏を取り戻してきた
これが本来の旧道の姿なのだろうか・・
いや、恐らく何らかの道として拡幅されたのだろう
明らかに当時としてはオーバースペックである





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