成木街道 旧吹上トンネル(東京都)その2
鳥がさえずる山中にひっそりと口を開ける明治トンネル抗口
付近の暗さも手伝い、入るに躊躇するほどの不気味さである。
意を決して中へ進入する。
内部はさほど荒れておらず即落盤の危険は見受けられなかった。
坑内は基本的に煉瓦巻きであるが、一部煉瓦を剥がし
コンクリートブロックで巻きなおしてその上から
更にコンクリートを吹き付けて補強してあった。
坑内煉瓦巻きの部分。
現役時代は補強の必要が無くそのままの状態で使用されていたと思われる。
しかし年数には勝てず、煉瓦巻きの部分も土圧に負け、若干歪みが生じてきている。
坑内の一部は岩盤の為か巻き立て無しの素掘り部分があった。
コンクリート巻き、煉瓦巻き、素掘り・・・
このトンネルは非常に面白い構造をしている。
明治トンネルの青梅側抗口。
トンネルポータルはオランダ積でなかなかの物である。
銘板は無いが、要石(キーストーン)を初めとする
胸壁(パラペット)・笠石・帯石等、明治時代独特の手の込んだ作りをしている。
ピラスター(壁柱)のような物がスプリングラインの高さまでしか無いのは
何か意味があるのだろうか??
青梅側抗口を遠巻きに見てみる。
静かな山間に口を開ける煉瓦作りの抗門・・
その雰囲気は廃線を思い浮かべる物がある。
ただ、立ち入り禁止の看板を燃やされているのが残念だ。
山火事の危険性を考える事すら出来ないのかDQN共!!
明治トンネル青梅側抗口にある廃屋。
「ここは元居酒屋でここの女将さんと家族が惨殺された」
このトンネルを扱う心霊系サイトでは決まって出てくる話だが
たまたま山菜取りに来ていた近所のおっちゃんに話を聞くと
「この家は元々明治トンネルの掘削工事に従事していた作業員が
この場所を気に入り、当時資材置き場だったこの空き地を
格安で買い取り住み着いた。そしてその方が亡くなって
家を継ぐ者も居なくそのまま朽ち果てて行った・・・」
と語ってくれた。
所詮、曰く付きの心霊スポットの真相などこの程度だと思う。
どう改造しても居酒屋の作りしてねーだろこの家は!!
明治トンネルに通じる道より昭和トンネルへの道路を望む
一応2車線ある昭和トンネルだが、車両の大型化と成木側のヘアピンカーブがネックとなり
平成トンネルにその座を譲った。
今回、この廃墟を訪れて一番思った事は
「人の噂とインターネットの威力」だと思った。
このトンネルを検索をすると殆どが心霊スポットとしての紹介であり
似たような話と深夜訪れた写真と・・どのサイトも似たり寄ったりである。
ただスポットだろうが何だろうがどうでも良いけど、マジ破壊工作はやめて欲しい。
昭和トンネルだって都が金を出して管理している物だし、明治トンネルの看板焼却など以ての外である。
山火事になったらどれだけ損失があるものか・・ましてや付近には民家もあるってのに・・・
そー言えば情報提供してくれたおっちゃんが言ってました。
「週末の夜になると若者が良く来るよ〜! 殆どがアベックだよ(・∀・)ニヤニヤ」
〜〜 成木街道 吹上トンネル 〜〜
明治トンネル 明治37年開通
昭和トンネル 昭和33年開通
平成トンネル 平成5年開通
←その1へ
戻る