2006-09-18 作成

JR内房線 旧岩富隧道





JR内房線にある旧岩富隧道は
大正7年8月10日に供用を開始した
全長748mの鉄道トンネルである
大正12年9月1日に関東一帯を襲った関東大震災により
内部が約240m崩落、また隧道全体に亀裂、変形等の重大な被害を被った。
大正12年11月28日に仮復旧すると共に西側に新たな隧道を掘削
大正15年11月に新隧道が完成すると共に新線に切り替えられ、旧隧道は破棄された
今回はこの現在でも震災の爪痕が残る旧隧道探索である。





国道127号線よりギリギリ車一台分あるかないかの細い道を進む
そして道に迷い通りかかった軽トラのオッチャンに案内されやっと到着する事が出来た。
オッチャン・・わざわざ誘導してくれてアリガト




坑門の近影である。
坑門はコンクリート製、坑内は煉瓦巻きであるが
この坑門の作り方がなんとも格好良い!




隧道内部は至って普通の煉瓦巻きである
噂には聞いていたがご覧の通り内部は完全水没である。
アーチからの漏水も結構激しい




坑門アップである
板を合わせて作った木造建築物の様に仕上げられ
コンクリートの灰色と煉瓦の赤が良い感じに互いを強調している




坑口付近のクラック
これは恐らく震災によるクラックだと思う
隧道全体としては自然の崩落等は殆ど見受けられない
これはこの房総半島全体が強固な地盤で構成されている為だと思う
実際房総半島には長大な素堀隧道が数多く点在する




坑口付近の法面は近年のコンクリートブロックにより施工がされていた
恐らくは上部を走る車道に由来する物だとは思うのだが
場所的には車道よりかなり離れている箇所であり
万が一崩れても何ら影響が無いのだが・・ この施工理由は良く判らなかった




坑門上部はクラックより草が生えていた。
通常、一番圧力の掛かるアーチの頂点にクラックが走ると
隧道はあっという間に圧壊するのであるが
この隧道はこの状態で幾年も耐えてきた
やはり地盤自体が強固だからであろう・・




煉瓦部分の目地近影
これは覆輪目地という煉瓦目地の施工方法で
主に坑門付近の装飾目的で付けられる場合が多い
通常は平目地という、平らに仕上げられる加工である
この隧道も内部煉瓦は平目地になっていた




いよいよ内部へ進入する
水没している事は承知だし、濡れる覚悟で来ているのだから
躊躇はあまりしなかった。
しかし予想以上に深い・・ 2〜3歩踏み出しただけで
水深はすでに膝の部分まで来ている。




内部を見ると煉瓦巻きの上にコンクリートで補強が成されていた
恐らく震災後の応急処置的な復旧工事の物と思われる



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